「子どものまち・いえワークショップ提案コンペ」十周年企画として、第1回~第9回の当該コンペに応募いただいた方々に経験談をお聞きするアンケートを実施しました。
1.当該コンペの参加経験が活かされたこと(想い出)
子どもの視点に立って考える難しさを体感し、制約条件が少なく独創性を求められるコンペにおいて企画を仲間と共に試行錯誤して組み立てたことや審査員に考えを伝えるべく工夫を凝らしたプレゼンを実施したことが良い経験となったそうです。
- 「就職活動で自信を持てた」
- 「コンペでは提案の実現可能性と共に、本当にこの内容で子供たちに楽しんでもらえるのだろうかということをみんなで話し合うことができたことが貴重な経験となりました。子供の立場になって考えてみるということが実はすごく難しいことであることがわかりました。しかし、都市や建築を学ぶ中で当たり前になっていた前提や知識を改めて解釈し見直す機会になり、より深く考えるきっかけになったと思います。」
- 「研究室全員で初めてチャレンジしたコンペだったので良い経験だった」
- 「プレゼンボードの作成など、人にわかりやすく自分の考えを伝えること。」
2.ワークショップを実践した際の気づき(想い出)
コンペ後にワークショップを実践した学生にとっては、企画者側の想像を超える子どもたちの発想力に驚くと共に、仲間と試行錯誤して企画したワークショップに参加した子どもたちが楽しんでいる姿が印象的な想い出となったようです。
- 「子供たちとの思い出。」
- 「子供たちが創造や遊戯を楽しむなかで、建築や街に興味を持ってもらうことはとても重要であると感じた。自分の生まれる土地は選べないけれど、みんなが自分の街を好きだと言えることができたらどんなに素敵なことか。それを目指し、一歩近づいた感覚を覚えました。」
- 「当日の子供達の楽しんでいる姿がなによりも思い出に残っています。」
- 「参加してくれた子どもたちの作品がこちらが予想していた以上に自由で独創的で本当に素晴らしく、サポートの大人たちの方がたくさん学ばせてもらったしとても楽しめたと思う。」
- 「コンペ提案のワークショップを通じて、運営側が先回りしてあまり準備をしすぎないほうが上手くいくことに気付きました。子どもと遊ぶときなどに役立ってます。」
- 「参加してくれた子供たちの素直な反応や、題材であったまちの中の音探しでの意外な「音」の発見など、自分では気づかないことばかりで、とても楽しかった。」
- 「ワークショップを通じて、後輩たちも巻き込みグループで活動したこと、コンペ主催の方々や場所を提供いただいた施設の方と打合せをしたこと、子どもたちの感性を間近に感じたことなど、学生だけでは体験できない事柄をたくさん経験させて頂きました。一つのプロジェクトとして、成功も失敗も含めて、全て良い思い出になっています。」
3.現在の仕事への影響
ワークショップの企画提案から実践までの一連のプロジェクトにおいて、多くの方々を巻き込んで形になっていく経験が現在の仕事にも役立っているようで、下記のようなコメントを頂きました。
- 「街づくりは子どもたちにまで楽しさを与える力を秘めていると実感した。(現職:都市開発)」
- 「グループワークや、企画作りなど多くの場面で経験が生きています。(現職:ゼネコン都市開発)」
- 「「誰の為に造るか」を意識するようになったと思う。(現職:ゼネコン設計)」
- 「地域や子どもたちの意見や考えを組み取り設計に生かすこと(現職:建築設計)」
- 「コンペの際に経験した立案から提案、実施に至るまでの様々な試行錯誤の過程は、スケール感や組織は違えど、現在の職務でも同様に日々その繰り返しで、その経験が活かされていると思います。(現職:建築設計)」
- 「一般の人との接し方、話し方、話の聞き方など。(現職:建築系公務員)」
- 「チームで意見を出し合い、1つの提案をまとめることが、現在の職務にも活かされております。(現職:メーカー製品設計)」
- 「考えたことを形にするとことが今の仕事ともつながっていると思います。年齢関係なく、コミュニケーションを実行した経験が活かされているような気がします。(現職:設計)」
- 「ワークショップをやり切ったことで、一個人としてはとても自信が身に着いた経験だと思っています。自分に自信が持てないタイプの子でしたが、プレゼンなどを行うとき、初めてのことに挑戦するとき、学生時代のこういった経験が糧になって、今は前向きに挑戦できていると思っています。
- またコンペ主催の方や場所を提供いただいた方など、社会人の方とやり取りを多く行ったこともあり、自分が社会人になりたてのときでも慌てずに順応できたなと思っています。(現職:内装設計)」
4.今後、コンペに参加する学生へのメッセージ
最後に、今後の当該コンペに参加する学生に向けたメッセージもお寄せいただきました。
- 「子供の目線に立って、何が面白いか、何がやってみたいのか、もう一度考えてみてください!」
- 「子どもが喜ぶ姿を見れることは何にも変えがたい喜びがあります。その際にはきっと自分自身にも建築やまちづくりへの印象が変わる実感があります。」
- 「遊び心を持っていてください。」
- 「WSの計画から実践をデザインすることで、さまざまなスキルが身につくと思います。とてもいい経験ですので、頑張ってください。」
- 「子供の目線になって提案を考えてみるのは、面白い反面とても難しいことでした。ですがWSを開催でき、私たちが考えている以上に子供たちの想像力と創造力は未知数であることがわかり、素敵な発見がたくさんありました。みなさんもぜひ子供たちと一緒に活動する場面を想像しながらコンペを楽しんでください!」
- 「難しくなく、チームワークを高められるコンペだと思うので、楽しく参加してほしいです。」
- 「自分たちが楽しみながら企画運営できるワークショップだと、内容もどんどん詰められるし、審査員の方々にもその想いが伝わると思います!がんばってください!」
- 「近年地域と協働して建築する事業が増加しています。その経験にもなりうるので実施できるとよりいい経験になると思います。」
- 「立案から提案、実施まで学生のうちに担当できるコンペは、とても珍しいと思います。それぞれの過程で発生する様々な課題に仲間と共に対処しながら、実施まで進めていくのは大変ですが、とても充実した経験になります。頑張ってください。」
- 「対象の地域や人の課題を丁寧に読み解けば必ずいい提案ができるはずです。頑張ってください。」
- 「実施場所や予算を考えて企画を成立させるのは非常にやりがいがあると思いますので、楽しい企画を考えて下さい!」
- 「企画から実施まで、全力で楽しんでください!」
- 「学生の頃は、子供と関わることはほとんどありませんでしたが、子供たちと一緒にワークショップを行い、子供たちの発想の自由さやパワーに、私自身とても刺激を受けました。ワークショップの実現に向けて、がんばってください!また、最優秀に選ばれなかったとしても、身近なところでぜひ実践してほしいです。」
- 「大学生のとき参加したコンペは、受賞したら賞状や賞金を頂き、それで終了というコンペが多かったと思います。ワークショップのコンペは、受賞してからが勝負のコンペだと思います。獲ったらそれで終了、ではないので、大変なことも多かったですが、社会人になっても活かせるスキルや心構えが身についていると実感しています。やり切った実体験は自信にもつながると思います。ぜひ、獲得した際は思いっきりやり切ってほしいです。」
まち・いえワークショップコンペ卒業生のみなさん、貴重なコメントをありがとうございました。学生のみなさん、先輩のコメントを参考に、ぜひ、まち・いえワークショップコンペにご参加ください。
(アンケート企画実施:渡辺由之)